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民進党にとっても不幸な内部分裂状態 [政治]

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安倍晋三首相が衆院解散・総選挙を決断したとの第一報を受け、野党陣営は一様に狼狽(ろうばい)したように見えた。

 とりわけ、まだ結党準備中だった若狭勝衆院議員らの新党「希望の党」と、離党者が相次ぎ大揺れの民進党にとってはそうだろう。

 ◆衆院解散の「恩恵」

 就任まもない民進党の前原誠司代表は唐突な衆院解散情報に対して、「『森友問題』や『加計問題』の国会での追及から逃げるため」の解散だと安倍首相を批判したが、弱音を吐いているようにしか見えなかった。強がりでもいいから、「望むところだ」と言ってほしいものだと思っていたら、かろうじて「しっかりと受けて立つ」とファイティングポーズはとってみせた。これはよかった。党首が戦闘態勢をとれないようでは選挙は戦えない。

 皮肉なことに、民進党は今回の衆院解散で得をした面もある。だらだらと際限なく続く「離党ドミノ」を小規模に抑制する効果があったからである。私の知るかぎり、離党を検討していた議員や立候補予定者はまだたくさんいる。だが、衆院選公示日が迫ったため、何人かは離党をあきらめ、民進党候補として選挙を戦わざるを得ないだろう。

 民進党から離党者が相次ぐ理由はある程度理解できる。党の政治路線や政策を受け入れられなくなったことと、民進党では選挙で当選できないと判断したのだ。こういう状態に陥ったのは民進党という政党の成り立ちも大いに関係している。

 ◆修復不可能な溝

 民進党の前身である民主党は平成10(1998)年4月に結成された。そのまた前身の旧民主党は8年9月に社民党や新党さきがけの議員らが合流して誕生した。構成メンバーは社会党出身だったり自民党離党組だったり、いろいろだった。主義主張が異なり、水と油のようにみえる議員らが団結を保てたのは、自民党を打倒するという究極の目標で一致していたからにほかならない。

 小政党では自民党を倒せないから、寄り集まって一定の規模の集団を形成し、自民党と対峙(たいじ)しようとしたのである。旧民主党結成を現場で取材していた私から見れば、集まることが最優先で、政策は二の次のようにも見えた。

 さらに、時を経るにつれて、本当は自民党から立候補したかったのに、自民党には空白区(自民党候補のいない選挙区)が見当たらないのでやむを得ず民主党から立候補したという議員も加わった。こうなってくると、政党としてのアイデンティティーなどあったものではない。

 21年8月、民主党はついに政権を奪取した。旧民主党結党から13年弱での目標達成である。

 だが、目標達成後の民主党は逆に色あせて見えた。目標に到達した後、当然、自分たちが理想とする国家や社会の実現を目指せばいいはずなのだが、もともと目指すべき方向が違っていた議員らが集まっているのだから、多くの政策決定において議論は混乱した。さらに、共産党との共闘などの路線問題でも党内の溝は深まった。そして、それが現在の「離党ドミノ」につながっている。

 もちろん自民党や他の党でも、党内意見には幅がある。自民党は「新憲法の制定」を党是としているにもかかわらず、党内に護憲的な議員もいる。消費税増税賛成派もいるし反対派もいる。だが、それが離党騒ぎに発展しないのは2つの理由がある。まず、受け入れがたい政治路線や政策の問題が 部分的にあったとしても、全体としては他党よりも自民党のほうに親和性を感じる議員がほとんどだ。もう1つは、自民党に在籍していたほうが選挙や出世(入閣など)の面で有利だという打算だ。

 民進党離党者や離党予備軍からみると、今の民進党はその2つの引力が弱い。政策的には護憲派と改憲派の溝が修復不能なところにまで深まっている。選挙については、民進党では勝てそうにないと考える離党者が多い。

 ◆深刻な共産党問題

 2つの引力のうち当選可能性のほうは議員にとっては死活問題だが、国民には関係がない。むしろ、国民にとって問題になるのは、政策のほうだ。政策的一致がない政党が政権をとれば、国民に不利益をもたらす。有権者は何を基準にその政党に投票していいか分からなくなる。

 自民党も同じではないかと言われるかもしれないが、自民党内の不一致は党内議論で解消され無理矢理ではあってもひとつに集約される。民進党では解消されずに、議員の離党にまで発展しかねない。不一致の質が違う。

 まして、民進党と共産党の共闘問題はもっと深刻だ。前原氏は共産党との共闘に否定的だったが、野党候補の一本化の必要性は感じているようだ。一本化しなければ、自民党に勝てないと思っているからだ。旧民主党結党時と同じ風景である。

 だが、仮に一本化して自民党に勝った場合でも共産党を含む形での連立政権は作らない方向のようだ。これはおかしい。衆院選は政権選択の選挙、つまりどの政党が内閣を構成するのかを選ぶ選挙だ。選挙で共産党と協力するなら、その候補者には民共両党支持者の票が投じられる。当然、両党が含まれる形での政権が形成されるべきだ。それが嫌なら、初めから組むべきではない。

 護憲か改憲か? 共産党との共闘か否か? 内部分裂した今の状態は有権者だけでなく民進党自身にとって不幸だ。

 衆院選が迫る今は現実的ではないが、民進党議員は落ち着いた時期が来たら考えたほうがいい。解党的出直しではなく、分党か解党そのものによる出直しを。   (編集長・五嶋清)
記事引用元:産経新聞





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